鐘の音が重い。授業の終わりを告げるそのチャイムをぼんやり聞きながら、わたしはペンを筆箱に直す。どうやら軽く寝かけていたようだ。寝ぼけた頭をなんとか起こそうとしているのに、自然と欠伸がでた。今日は早めに寝るべきかもしれない。今の授業が最後でよかったと思いながら鞄を持って席から立つと「」窓際から声がきこえた。

「今日は…なんだ、眠いのか?」
「ううん、大丈夫」

そう言った後に欠伸が出て、それを見たルルーシュは小さく笑った。「ほんとに大丈夫、もうピークは過ぎたから」恥ずかしくなって言い訳染みたことを言ってみると彼は「そうか」またゆっくり口端を緩める。「で、何?」

「ああ…、ちょっと付き合いたいんだがいいか?」
「いいけど、ってえ?付き合ってほしいんだけどじゃなくて?」
「そうじゃない。今日、に付き合いたいんだ。いいか?」

よくわからない。付き合って欲しいのではなく、付き合いたいということは、おそらくわたしに付いて行きたいということなのだろうけど。(メリットが、わからない)べつにわたしは特別放課後にルルーシュが見たがるようなかっこいいことをしているわけではないし、というか何もしていないのだから、余計に意味が分からない。「…?別に、いいけど」とりあえず承諾すると、ルルーシュはいつもの笑みでお礼を言った。

「校門で待ってる」











風でマフラーが踊る。とてつもない寒さに、わたしは自分で身体を抱いた。「…、マフラーかかってないぞ」わたしのマフラーが風と遊んでいる間に、首から逃げてしまったらしい。背中に垂れ下がったマフラーを取って、ルルーシュはわたしの首にそれをかけた。暖かい。「ありがとう」「いや」そう言うルルーシュの首にはマフラーがなくて、とても冷え冷えとしているように見えた。けれどさすがに「一緒のマフラーで暖まる?」なんてことは言えないし、わたしは寒いね、と言って他の方法を思いつこうとするだけで精一杯だった。

ルルーシュが付き合いたかったのは、わたしの放課後、らしい。猫を追いかけたり、お気に入りの服を着てみたり、わたしは大体理由もなくそういうことをしているわけだが、彼がそんなことをしたがると思えない。これの何が良いと言うのだろう。「ねえ」どうしてそんな放課後を味わいたいのだろう。

「ねえルルーシュ、どうしてわたしの放課後なんかに付き合おうと思ったの?」
「分からない」

マフラーで口元を隠して、わたしは聞いた。
ルルーシュは「けど、たぶん俺は」ただ優しく笑う。

の見ている世界を見たかったんだ」


すっと細い指がのびて、わたしの見慣れた(あんまり好きじゃない)手をぎこちなく握った。とっても冷たい指がわたしの指一本一本とからんでいく。凍った指をほぐしているようにも思えた。

「寒いな」
「…うん、寒いね」


雪が降ればいいのにと思った


(//081001)