「そうだ、には言ってなかったな。俺、あいつと付き合い始めたんだ」

わたしはルルーシュが好きだった。だから普通は彼の口から知らない女の子の名前と一緒にこんな報告をされれば涙を零したり怒ったり、一概には言えないけど大体の人は傷つくと思うのだ。けどわたしは何かが、ずん、と頭の上に重しが乗ってきたような感覚に襲われただけだった。どうしてか、大きなショックは受けなかったのだ。だからわたしは一言だけ「、そう」と告げて、ルルーシュに笑って言った。「よかったね」なにがよかったのだろう。一方通行であったけれど、わたしは彼のことが好きだったのに。良いわけなんてないのに。今のわたしは、ルルーシュへの恋心をすっぽり何かで覆ってしまったみたいで、おかしい。それなのに異変を感じない。ああ、おかしい可笑しい。気持ちがひゅっと抜けてしまったように、なんだっけ、そう。からっぽ。口のなかはからからになってるし、胸の中だってからっぽ。たぶんからっぽじゃなければ涙の一粒くらい流していたんじゃないかなと思う。「あのねルルーシュ、」ルルーシュは首をかしげた。黒い髪が頬にかかる。

「おんなのこはみんな魔法をつかえるんだよ」

だから、だからさ、わたしがルルーシュに魔法をかけてあげる。ルルーシュが幸せになりますようにって。わたしが魔法を使える回数は決まってるんだけどね、それをルルーシュのために使ってあげる。ずっと、大切にしてね。

二人が幸せになりますようになんか言えるはずもなくて、わたしがそれだけを願ったなんて彼は知るよしもない。知るはずがない。だってあなた、楽しそうに笑っているじゃない。ああ、でも、その笑顔もすきでした。

「…

ねえ、ルルーシュ、ルルーシュ、ルルーシュ。本当はあなたはわたしの気持ちを知っていたの?もしそうならあなたはほんとうに綺麗で残酷。

「ありがとう、君に言ってよかったよ」



好きでした
めまいがするほどに


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