ほら、絶望はこんなにも光ってる カプリス。それは、彼女を示している言葉はどんな言葉か、と以前会長に聞かれた時に答えたものだ。カプリスは菓子の名前にもなっているのだが、初めてそれを見たとき、気まぐれで掴みにくい彼女のためにあるような言葉だと、思った。 「…」 その菓子は季節によって味が変わるものだった。ベースになっているスポンジやクリームは全く同じ物なのに、上にかけられているソースだけで味が違ってくる。見た目は同じものなのに、いざ中身を見ると、知っていたはずなのに、知らないそれがあるのだ。持ち帰って一緒に食べていたナナリーに、なんだか不思議です。まるでさんみたいですねと微笑みかけられ、俺は一瞬、焦りを隠しきれなかった。 めまぐるしく変わっていくを見ているのは正直、不安だ。彼女の気持ちが揺らぐことなど、季節と共に代わっていってしまうことなど、ありえないと自分に言い聞かせるが、人間に絶対なんて存在しない。だから俺は時折、彼女を閉じ込めてしまいたくなるのだ。永遠は絶望だ。けれど彼女は絶望さえも永遠と希望に変える事が出来る気がするから。そう、季節が移り行くように自然と。 「っ、ルルーシュ!?」 授業が始まろうとしている教室から彼女を強引に連れ出したのは、5分程前。足早に向かったクラブハウスはいつもと変わらず、猫祭で使用した洋服等が壁に飾られてある。を先に入れてから、抜目なく扉の鍵を閉めた。反論しようとした彼女に有無を言わせず、強くしっかりと抱く。苦しそうにもがくを抱きしめる腕の力を少し緩めた。けれどそれを解く事はまだ、ない。 「っもう!ルル、」 ごめん、「愛してる」柔らかい感触と温度を味わいながら、ゆっくりと目を閉じた (//20080106) |