・ ・ 。 。 。 ぽ た り 。 ぽたり。涙の落ちる音が、聞こえた。ぽたり。一向に止まろうとしない涙の音は、頭の中に響き渡る。俺は慌ててその音のした方へと足を走らせた。俺はこの音を聞いたことがある。塩より少し甘くて、砂糖より少ししょっぱい、君の涙。「…月、森くん?」風にのって君の涙は飛んだ。どうして、君はいつも一人で泣いているのだろう。君には、泣き場所だって、慰めてくれる人だって、たくさんいるはずだ。君は、悲しみのせいで震える肩さえもを押さえることが出来なくなっていた。俺はいたたまれなくなって、後ろから君を抱きしめる。「君が泣くときは、いつでもここを空けておくし、それでも君が悲しいなら、願いを一つ聞く。だから、」君を抱きしめている俺の手に冷たい雫が落ちた。永遠に降り止まない、雨のようだ。「じゃあ、月森くん、」また君の瞳から涙が落ちた。まるでそれは、おおきな、真珠。「笑って?」 |